YURIE & SHUNSUKE vol.1ソトアソビを日常に

YURIE & SHUNSUKE vol.1ソトアソビを日常に

都心のマンションを離れ、原風景の残る里山に移住したユリエさんとシュンスケさん夫妻。“ソトアソビ”好きなふたりが選んだのは、自然を毎朝毎夜に感じ、庭のテントサウナでととのい、季節を味わい尽くす暮らしだった。

Photos/ PAK OK SUN

YURIEさん & SHUNSUKEさん

ユリエさんは、キャンプや旅、アウトドアを楽しみながら、その魅力を「ソトアソビ」というライフスタイルとして発信。連載記事の執筆や、ファッションや雑貨の商品企画・プロデュースも手がける。著書に『THE GLAMPING STYLE 〜YURIEの週末ソトアソビ〜』(KADOKAWA)がある。ご主人のシュンスケさんはソトアソビを共有できるパートナーであり、長けた空間プロデュース力で仕事の域を広げてくれる大切な存在。
Instagram @yuriexx67
公式サイト www.yuriexx67.com

突如生まれた「ここじゃない感」

都会から里山へ移り住んだきっかけは?

ユリエ:以前住んでいた東京のマンションは、車がバンバン走る国道沿いにありました。仕事の打ち合わせが多いから都心へのアクセスの良さは必須だったし、都内に友達も多く、東京の刺激も好き。海外や国内各地に行くことも多かったので、羽田空港に近いのも良かった。だから、その場所にいることに疑問を持つことはなかったんです。逆にそういう環境だからこそ、自然豊かなキャンプで、積極的に開放感を感じに行っていたんですよね。

だけど、コロナ禍になって外出自粛しなければならなくなったとき、途端に自分たちの居場所が窮屈に感じてきたんです。ちょうどマンションの修繕工事が時期的に重なり、外も見えないし騒音もすごかった。地下に押し込まれた感じがしました。

部屋でキャンプしたり、けん玉やハーモニカを練習したり、プラネタリウムのおもちゃを買ってみたりもしたんですが、何をやっても私には限界。引っ越したい気持ちが芽生えたら、もう止められなくなっちゃって。工事が終わっても「なんかここにいれない」、「誰にも言われてないのに、なんで私たちはここにいるんだろう?」って思い始めたんです。それでもっと自然の豊かな里山で、家を探し始めました。

シュンスケ:僕も職場が近いという理由でそこにいたけど、ちょうど会社をやめたタイミングで、そうすると「別にここじゃなくてもいいかな」と考えるようになりました。打ち合わせはオンラインでできるし、何よりユリエのストレスがビシバシ伝わってきて(笑)。彼女が探し出してくるいろんな物件に目を通しながら、次第に「移住してみようか」という気持ちにシフトした感じです。

ユリエ:あと、私たちはアウトドアグッズを車に積んで行く仕事が多いんですが、マンションの駐車場に空きがなく5分ほど離れた場所に停めていたので、エレベーターでワゴンを8階まで運んで降ろして…という作業が、すごく大変だったんです。

シュンスケ:キャンプスタイルやバンライフなど “ソトアソビ”を発信し続けるには、あのままの空間では難しかったかもしれませんね。「自分たちらしい暮らしって何?」って考えたら、一度移住してみるのもいいかな、と思って決めました。

実際、里山に住んでみてどう感じましたか?

ユリエ:環境音は全く変わりましたね。早朝、騒がしい車の音の代わりに聞こえてくるのは、こちらもなかなか騒がしい鳥の鳴き声(笑) そして、野菜が新鮮で美味しくて安い! オクラの花やオカヒジキなど、東京のスーパーではあまり見かけない野菜が、旬の季節になると店先にどさっと並んでいて。食べ方を調べて楽しんでいます。

それから、東京ではご近所との接点もなく、隣に誰が住んでいるのかも知らずに暮らしていたけど、ここでは近所の方が通りすがりに庭木の手入れのアドバイスをしてくれたり、収穫したネギやタケノコを大量にくださったりする。なんていうか、みんなで暮らしの環境をつくっているような感じです。

シュンスケ:あと、東京に行くワクワクもできた気がします。首都高を走りながら眺めるビル群だって、以前よりきれいに見えたりして。ちょっと離れると、良さが見えてくるんだなと思いました。

庭で遊ぶ、庭でととのう

この家を選んだ決め手はなんですか?

ユリエ:最初は古民家で探していたんですが、設えやメンテナンスなどいろいろハードルが高くて。そうしているうちにこのログハウスを見つけて、広めの庭があることに魅力を感じました。

この家に決めた時は、庭にあるのが何の木なのかわからなかったんですが、季節が変わるたびに花を咲かせたり実をつけたりと、木々自体が変化して、それが何の木なのかを教えてくれるんです。

シュンスケ:冬の間は土色だった庭が、今はもう一面緑。ちょっとずつ変化する経過を見逃さずいられるのは嬉しいですね。

ユリエ:ここに住んで感じたことなんですが、キャンプは「新緑の季節って気持ちいい」とか、行ったその時々と場所の魅力を切り取って味わうものなんですよね。自然の中での“暮らし”はまた違って、一日一日、色やディテールが少しずつ変化する様子に触れることなんだなと思いました。庭では野菜やハーブを育てたり、最近はコンポストにも挑戦したりして、日々観察する趣味が広がっています。

シュンスケ:ソトアソビのネタが、遠くにいかなくても目の前にたくさん転がっているんですよね。実際、アウトドア商品の撮影を庭でできるようにもなったし。これから発信できるものも増えていく気がします。

この庭にテントサウナを置いたきっかけは?

ユリエ:真冬でも庭で遊びたいなって思ったんです。1月か2月くらいだったかな。そうしたら、いつの間にか彼がテントサウナからストーブまで一式を買い揃えていたんです(笑)

シュンスケ:ユリエからテントサウナを体験した時の話を聞いて、「めっちゃいいじゃん」て思って、すぐにリサーチしまくりましたね。

ユリエ:以前私が友達に誘われて、テントサウナの聖地と呼ばれる場所でモルジュのテントサウナに入り、水風呂には川や滝壺に入るという経験をしたです。そのとき初めて「フワフワ」したんですよね。ととのうって感覚をそれまでは知らなかったんだけど、「それ、ととのってるよ」って人に言われて。

あの感覚を味わいたくてサウナ施設に行ったりもするんですが、家から歩いて10歩で入れるのはやっぱり最高です。ハンモックに乗って広い空を眺めながら外気浴するのもいい。寒暖差のある冬は特に気持ちよくて、冬の夜は星の美しさも倍増するんです。

暮らしの中にサウナを迎えて感じたことは?

ユリエ:日常的にサウナに入れるのは、精神的にいいですね。“ととのう”は、ヨガでいう瞑想状態に近いのかな。心が元気になる、生きててよかった!みたいなポジティブな気持ちになれるんです。

あと、自粛期間中に「サ飯は何がおいしいか?」っていうことも試しました。サウナ後は作りたくないし、彼がテントの準備をしている時に、私はサウナから出て20分以内には食べられるようにセッティングして。いろいろ試した結果、酸辣湯とかお酢系のごはんがおいしく感じました。サ飯でもう一回ととのえるって感じ(笑)

シュンスケ:幸福度はさらに増しますね。食べる、寝る、と同じく難しくないレベルで、サウナする、という日常の選択肢が増えた気がします。遠くに行かなくてもソトアソビはできるんだと。この場所に移り住まなかったら、これも体験できなかったなと感じます。

(Vol.2に続く)

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