開放的な空間で音楽を楽しむフェスだが、エンターテイメントのさらなるひとつとしてアウトドアサウナを取り入れたフェスが着々と増えてきている。
今回は、先日のNew Acoustic Campでひらかれたサウナ空間、「NEW MUKAVA CAMP」を訪れた。

1年に1度の、山の中のちいさな音楽の村

群馬県みなかみ市。新潟県に接する、群馬県最北の地で、年に1度の音楽の祭典が開かれる。
文字通り全ての音楽がアコースティックで奏でられ、キャンプをしながらフェスを楽しむのだ。
さすがは普段ゴルフコースのふっくらと豊かに敷き詰められた芝生が会場のほとんどを占め、その芝生に寝転がりながら聴くことを歓迎するような、ゆるりとした空気感が特徴のフェスである。
その空気感から、小さな子どもやペットと一緒のファミリーでの参加も多い。

池のほとりに位置する広々としたサウナエリア

例年、ボートやサップ体験などのアクティビティを開催している、6番ホール池のほとりがサウナエリアだ。
広々とした中に、計8機のサウナから煙があがる。
テントサウナだけでなくいろいろなサウナがあるとのことで、どのサウナから入ろうかとテンションも上がる。
 事前予約を確認し、受付を済ませたら更衣室で着替える。
1枠¥2,000(税込)で80分間の入れ替え制。
収容人数が10名を超える大型テントを含め、1つの枠の最大利用可能人数は60名ものキャパシティを誇る。

山奥のサウナが音楽の村へ

サウナエリアは大分・東京・大阪からの4社が共同で運営され、大分チームのプロデュースでテントサウナ2機とサウナ小屋、東京と大阪のチームでサウナトラックと大小のテントサウナ4機を構える。

中でも大分から参戦のリビルドサウナは、大分県豊後大野市の山奥に位置し、捨てられるはずの廃材で”リビルド”した、大自然を感じるサウナ。
そのサウナチームがテントサウナに並んでサウナ小屋を建てており、大きな木の下にたたずむサウナ小屋はさながら森の中のようだ。 サウナ小屋の中はサウナストーブ2機がゆったりと空間を温める。
スタッフの勧めてくれた半スタンディングのようなオリジナルの椅子は、前傾姿勢になるように若干の傾斜がかけられている。
ストーブの熱気が小屋の中を循環するように天井もカーブしており、手作りで建てた小屋のあちこちからサウナへの愛情がうかがえる。
目の前のかわいらしい小窓からは、少し離れた池越しのフェスの空気感をほんのりと感じるのも、また趣がある。

 たっぷりの冷たい水と贅沢な音楽の風

水風呂は大型のプール2機と、シャワーが設置されている。
アウトドアサウナで重要な水風呂だが、水は循環されており、シャワーからの水もしっかりと冷たく、体感は10度強というところか。
大人が大の字になり、全身つかるのにもまったくの問題がないたっぷりとした水量だった。
 外気浴には豊富なイスが用意されている。
定番の無重力チェア、空気を入れたベッドのようなものに、丸太のイスも素敵だ。
フェスでのサウナの醍醐味と言えば、遠くから聞こえてくる生演奏の音楽を聴きながらの外気浴だろう。
このサウナエリアでは、メインステージである”Yonder”の音楽がしっかりと届く。
温冷交代浴の後の肌が外気浴で浴びるのは、風に乗った音楽。
ステージパフォーマンスこそ見えないものの、なんと贅沢な楽しみ方か。
 

まるで村の中の小さなサウナの村

すべてのサウナの熱源は薪ストーブで、ロウリュが可能だ。
スタッフの方々がこまめに薪入れをしてくれているため、どのサウナもほとんど常に万全の状態。
4人用のテントサウナはロウリュをすれば理想の体感までぎゅっと温度を上げられるし、大型のテントは最大27人が入れる世界最大級のもので、中では3台のSoto buroストーブがタッグを組んだ守護神のようにとうとうと炎を湛えていた。 なかなか見かけないサウナトラックもやはり人気で、エリアの入り口近くでアイコニックな存在となっていた。
「森、道、市場」「GO OUT」「The camp book」などのフェスでサウナエリアの企画も手がけるSUNDAY FUNDAY社によるもの。
トラックの荷台に造られた空間は木材で囲まれておりほの暗く、天窓から一筋の光が取られている。
メディテーションにも最高の空間だ。

80分の時間の中で、思い思いのサウナを楽しむ。
「次はあのサウナ」と、サウナを求めて、あちらこちら歩くのも楽しい。



“ここちよい”の名を冠したサウナエリア
 
目の前に広がる池をぼんやりと見ながらふと思う、このサウナエリアの名前は「NEW MUKAVA CAMP」。
"MUKAVA"とはフィンランド語で「快適な、ここちよい」という意味らしい。
単にサウナそのものだけではなく、この空間の心地よさごと味わってほしいという意図を感じるネーミングだ。

また、これは完全に筆者の個人的な主観が入るのだが、忘れてはならないのがNew Acoustic Campというフェスは、グッズがひときわかわいい。
今回の初のサウナグッズとして、サウナハット、Tシャツ、サウナマットの3点を販売。
サウナハットは前後リバーシブルで使え、中でもお気に入りなのだが、思わずおそろいの来場者と盛り上がる。

タイムテーブルとにらめっこ

フェスに来てまでサウナ?と思う方もいるかもしれない。
しかしフェスでのサウナは心からおすすめしたい。
性別の垣根もなく、一緒にフェスに来たみんなで楽しむこともできる。
聴きたいアーティストの時間帯を外し、タイムテーブルの中でサウナをどこに組み込むか作戦を練る必要があるが、個人的におすすめなのはやはり夕方から夜の時間帯だ。
1日フェスで楽しんだ後、サウナでさっぱりしてからのフェス飯・キャンプ飯。
これもまた、普段では味わいたくても味わえない最高の贅沢なのだ。

夜の外気浴はまた一段としっとりと、傾斜のある丘に大胆に寝転がれば、やわらかな芝生がやさしく身体を受け止めてくれる。
思わず閉じた目を開く。
晴れ間からは星がまたたき、サウナから立ち登る煙に重なって、まるで季節はずれの天の川のようだ。


気持ちよくない訳がない、と半ば確信を持って臨んだニューアコでのサウナは、想像以上のものであった。
サウナという体験が、これからもフェスの持つ価値をさらに高めていくことだろう。

終わり近づく祭りの中、誰かの声が聞こえてくる。
「来年のニューアコも楽しみだね。」
この日に咲いたこころの花を、また1年大切に育てていこう。

NEW MUKAVA CAMP(New Acoustic Camp ) (イベントは終了いたしました)


住所/〒379-1721 群馬県利根郡みなかみ町藤原6152-1
営業/2022年9月18日〜20日 
料金/80min ¥2,000 期間中3日間で19枠の予約が可能

HP/https://newacousticcamp.com/

サウナタイプ
メーカー:
サウナ小屋(サウナボックス)
サウナトラック(SUNDAY FUNDAY)
4人用テントサウナ(MORZH)
4名用テントサウナ(Mobiba)
4名用テントサウナ(ジオサーマ)
10名用テントサウナ(Sotoburo)
27名用テントサウナ(Sotoburo) 
サウナストーブ
メーカー:
INTENT(薪ストーブ)
TERMA(薪ストーブ)
Sotoburo(薪ストーブ)

ロウリュ:あり(セルフロウリュ)
水風呂
温度 :10〜14℃
外気浴
整えチェア:あり
眺望:New Acoustic Campの会場

tsukishimahiroki
タグ付けされているもの: FES TRAVEL