SAUNA TRAVEL ─ 京都

京都の静寂に溶け込み、感性を研ぎ澄ます。任天堂旧本社『丸福樓』で、心と身体を土地のリズムに調律するサウナ旅

任天堂の旧本社ビルを再生した、アール・デコ調の風格ある外観。

日常のノイズから離れ、ただ自分の肌と心で、形のない宝物を見つける時間があるだろうか。

千年の都、京都。にぎやかな京都駅に降り立ち、タクシーを拾ってわずか6分ほど走る。鴨川と高瀬川が静かに並行して流れる鍵屋町は、観光地の賑わいからぽつりと取り残されたように、昔ながらの落ち着いた暮らしの息づかいを残している。

少し細い路地に入り、目的地を探して歩を進める。すると、住宅街の角に突如として圧倒的な風格を放つ青銅色のプレートと、昭和初期の薫りをまとったモダンなアール・デコ調の洋館が姿を現した。

ここが、かつて世界中に「遊び」の文化を届けた任天堂の旧本社ビルであり、現在は建築家・安藤忠雄氏の設計監修によって再生されたラグジュアリーホテル『丸福樓(まるふくろう)』だ。

オールインクルーシブの宿で、建築やアートに宿る美学に触れ、自らの心と身体の欲求にそっと耳を傾けながら、ただただ自分のリズムで時間を紡いでいく。さらにはサウナ付き客室と、周辺地域のサウナまでを丸ごと愛でる。

サウナの熱と、京都の冷たい水に全身を委ねる。その繰り返しの中で、眠っていた感覚がゆっくりと目覚めていく。それは、普段の暮らしのなかでは通り過ぎてしまうような、小さくて愛おしい時間にそっと光を当ててくれる、贅沢な1泊2日の旅路だ。

01

100年の歴史が宿る、アール・デコと現代建築の静かなる対話

正面玄関の前に立ち、かつての「かるた・トランプ 製造元山内任天堂」の重厚な社名板を見上げる。1889年に花札の製造から始まり、1930年にこの鉄筋コンクリート造の本社が建てられてから約1世紀。この場所は、ものづくりにすべてを捧げた人々の情熱と、静かな時をずっと見守り続けてきた。

任天堂におけるものづくりの原点であり、歴史を象徴する花札。

宿へと一歩足を踏み入れた瞬間、昭和初期の美学を静かに宿した建築の趣が重厚に出迎えてくれ、その独特の空気感を肌で感じる。幾何学的な意匠が美しいアール・デコ調の透かし彫りや、職人の手仕事を感じさせるタイル装飾、そしてところどころにあしらわれた当時の設えや遊び心のある小物に目を奪われながらも、まずはチェックインの手続きをするため、温かみのあるソファに深く腰掛ける。歴史を重ねた木と漆喰の香りが優しく鼻腔をくすぐり、移動の長旅による心地よい疲れがふんわりと解きほぐされていく。

100年の歴史が息づくロビーには、当時の美学が静かに宿る。

手渡されたのは、無機質なカードキーではない。1930年代に実際に使われていたレトロな鍵をモチーフに、あえて当時のシリンダーキーを再現した真鍮の鍵。丸福樓のロゴであるトランプマークをあしらった赤いキーホルダーが手のひらにずっしりと収まり、部屋を開ける瞬間のときめきをいっそう高めてくれる。

チェックイン時に手渡される、真鍮製のレトロな鍵と丸福樓のキーホルダー。

02

4つのスートを巡り、細部に隠された「遊び心」を愛でる

お部屋に向かう前に、まずはこの「遊べる名建築」を自分の足でゆっくりと歩き回り、建築とアートを心ゆくまで愛でることにした。
丸福樓は、1930年築の3棟(旧事務棟・旧住宅棟・旧倉庫棟)に、安藤氏設計の新築棟を加えた4つの棟で構成されている。それらは任天堂のルーツであるトランプにちなみ、「スペード」「ハート」「クラブ」「ダイヤ」のあしらいが随所に散りばめられている。

任天堂の旧本社ビルを再生した、風格あるホテル外観。

山内家が実際に暮らしていた住宅棟を歩けば、階段の手すりや窓枠に愛らしいハートのステンドグラスを見つけることができる。 さらに旧倉庫棟に移動すると、1930年代から稼働していた手動エレベーター(荷物用昇降機)や、かつて電話の交換台が入っていた部屋、壁に残された呼び出しベルの表札跡が、当時の生活の営みをまざまざと伝えてくれる。
安藤氏の精神が息づくコンクリート壁の新棟には、幾何学的なスリットから鋭く美しい自然光が差し込み、陰影の美しさを創り出している。 古いものと新しいものが、決して互いを邪魔することなく、100年の年代ギャップを越えてシームレスに混ざり合う。家具の繊細なエイジング加工や、旧築のランプカバーに近い質感で特注された照明。
ラウンジの棚には、日本人で1人しかいない認定レゴビルダーが制作した、丸福樓全体の精密なレゴモデルが飾られており、大人の遊び心をくすぐる。

日本人で唯一の認定レゴビルダーが制作した、精巧な丸福樓のレゴモデル。

「古い建物の価値を、そのまま未来へ受け継ぐ」。その妥協なきクラフトマンシップが空間のすべてに宿っており、ただ静かに歩いているだけで、内側からインスピレーションが湧き上がってくる。

03

新旧が交わる静寂のスイートで、天空テラスから京都を仰ぐ極上のサウナ体験。

五感が十分に刺激されたところで、今回滞在するホテルの最高峰『丸福樓スイート』の重厚な扉を開ける。
客室に足を踏み入れると、安藤忠雄氏による洗練された現代建築と、往時の面影を残す温もりが見事な対話を見せてくれる。窓から差し込む柔らかな光が、木目の調度品や研ぎ澄まされたコンクリートの美しさを静かに照らし出している。細部にまで行き届いた上質な空間に身を置き、そのしつらえをめでるうちに、心は深い静寂へと満たされていく。

安藤忠雄氏の洗練された設計と、歴史的な温もりが共存するスイート客室。

窓から差し込む光が美しい、スイートの廊下。

部屋の奥にある大きめの窓へ目を向けると、ブラインドの微かな隙間から丸みを帯びた木製のシルエットが見え隠れする。今回の滞在における大きな楽しみの一つだ。湧き上がる胸の高揚感を抑えつつ、吸い寄せられるようにテラスへ続くガラス扉をそっと開けた。

客室から開放感あふれるテラスへの繋がり。ブラインドの隙間越しに、木製のバレルサウナが覗く。

約40平米もの開放的なプライベートテラスに足を踏み入れると、屋上から望む美しい京都の街並みが眼下に広がる。夕刻の柔らかな光が包み込む空の下、視線を遠くへ巡らせると、緩やかに連なる東山の稜線と、その情景の中に佇む清水寺の塔が美しく浮かび上がっていた。千年の歴史が紡いできた静けさと壮大な景観が、ゆっくりと身体の奥深くまで沁み渡っていく。

屋上から京都の街並みを一望できる、開放感あふれるプライベートテラス。

テラスを進んだ先でひときわ存在感を放つのが、ONE SAUNA製のバレルサウナだ。安藤忠雄氏の手がけたコンクリート建築と美しいコントラストを描く木製サウナ。古都の風景と広い空を独占できる特別なロケーションで体験するサウナへの期待に、心地よい高揚感が胸を満たしていく。

コンクリート建築と見事に調和する、バレルサウナ。

「お客様が扉を開けたその瞬間に、心地よく汗を流せるように」。そんなスタッフの温かな心遣いによって、サウナ室のサウナストーンはすでに完璧な熱を宿し、すぐ傍らの専用水風呂には澄み切った冷水が注がれている。一歩足を踏み入れれば、バレルサウナならではの芳しい木の香りが立ち上り、テラスを吹き抜ける爽やかな風と重なり合いながら広がっていった。

テラスに配されたサウナ。木ならではの豊かな香りと温もりを肌で実感する。

熱せられたサウナストーンに静かに水を回しかけると、ジュワッという乾いた弾ける音とともに、きめ細やかな熱い蒸気が一気に立ち上り、全身を優しく包み込んでいく。サウナ室の柔らかな熱に抱かれながら、体中の細胞がゆっくりと、確実に目覚めていくのがわかる。

じわじわと吹き出す心地よい汗とともに、体内に溜まっていた日々の余計な思考やノイズがすべてリセットされていく。
十分に身体が芯まで温まったら、テラスの冷水風呂へ。 火照った全身を冷たい水にそっと沈めると、一気に皮膚の感覚が研ぎ澄まされていく。

サウナ後に身体を委ねる、テラス専用の冷水風呂。

水風呂を出て、テラスに用意されたインフィニティチェアに身体のすべての重みを預ける。 空が茜色のグラデーションを描きながら、静かに表情を変えていく。東山の稜線の向こうで小さく瞬き始める清水寺の灯り。 静かな京都の住宅街を吹き抜ける風が、肌をサラサラとなでていく。自然と呼吸が深く、ゆっくりとなり、まるで自分自身がこの美しい京都の風景の一部に溶け込んでいくような、深い解放感に包まれる。

インフィニティチェアで、京都の風を感じながらととのう贅沢な時間。

極上の心地よさに包まれたまま、客室のミニバーからオロナミンCとポカリスエットを用意する。グラスいっぱいの氷に注ぎ入れ、自分好みの特別なお手製「オロポ」を作りあげた。 微炭酸の爽快な甘酸っぱさと冷たさが渇いた身体の奥深くまで染みわたり、心も体もしっとりと潤されていく。

04

目の前で職人がさばき、音を立てて揚げる「天ぷら まるふく」の衝撃

サウナによって極限まで五感が研ぎ澄まされた最高のコンディションで、館内にある「天ぷら まるふく」へと向かう。ここは、2025年11月に誕生した、Plan Do Seeが初めて手がける本格カウンター天ぷらだ。

静かな佇まいの「天ぷら まるふく」入り口。

目の前に広がるのは、清潔感あふれる白木の「コの字型」カウンター。店主によると、この店での特等席は正面ではなく両端の席なのだという。その真価は、調理が始まるとすぐに理解できた。職人の洗練された手元を眼前に臨むそこは、まさに最高のライブシート。目の前で手際よくさばかれる新鮮な食材、パチパチと心地よく弾ける油の音、そして立ちのぼる胡麻油の香ばしい香り。そのすべてが五感を揺さぶり、臨場感あふれる空間を創り出している。

職人の手元を臨む、ライブ感あふれる白木のコの字型カウンター。

まずは、京都の旬を感じるみずみずしい「加茂茄子」。じゅわっと瑞々しい茄子の水分を閉じ込めてサクッと揚げられた天ぷらに、目の前で極薄に削られた、薫り高いかつお節が贅沢に載せられる。 サクッとした軽い衣を噛みしめると、濃厚な茄子の甘みとかつお節の芳醇な旨味が口いっぱいに広がり、息をのむ。

季節を感じる「加茂茄子」の天ぷら。削りたてのかつお節を添えて。

目の前で手際よく手際鮮やかに捌かれた新鮮な活車海老は、サクッとした薄衣の香ばしい食感とともに、噛みしめるほどにぷりっとした弾力と溢れ出る上品で軽快な甘みが口いっぱいに広がる。続く季節の野菜の天ぷらには、細かく削り落とされた黄金色の唐墨(カラスミ)が風味豊かなアクセントとして添えられ、旬の素材が持つ繊細な風味と深い塩気・旨味が絶妙な調和を魅せる。

選りすぐりの旬の食材と、職人の手さばきから生み出される極上の逸品。

仕上げには、炊きたての土鍋ご飯の上に、秘伝の甘いタレにくぐらせた穴子の天ぷらが美しく、かつ豪快に載る天丼。 サウナ後の最高の身体に、職人の技が生み出す「本物の天ぷら」が優しく染み込んでいき、全身が幸福感で満たされてゆく。

締めにふさわしい、穴子の天ぷらが贅沢に載った土鍋ご飯の天丼。

05

静かな高瀬川を歩き、京都の日常「サウナの梅湯」へと溶け込む

ディナーを堪能した後は、少し涼しくなった夜風を浴びながら、夜の京都の街へと歩き出す。 柳の葉がさらさらと揺れる高瀬川沿いを歩いてすぐ西側。そこには、京都のサウナ・銭湯カルチャーの象徴として全国から愛されている名門「サウナの梅湯」のネオンが光っている。

京都銭湯カルチャーの象徴、ネオンが光る名門「サウナの梅湯」。

実は丸福樓の宿泊ゲストには、この「梅湯」の無料入浴チケットが配られているのだ。プライベートなサウナの贅沢を楽しんだ後に、地元の昭和レトロなサウナカルチャーまで丸ごと楽しむことができるのは、この上ない喜びだ。

のれんをくぐれば、地元の人々に加えて全国から集うサウナ好きたちが心を通わせる、活気と温もりに満ちた『京都の日常』がそこにある。薪で沸かされた少し熱めのやわらかなお湯に肩まで浸かり、クラシカルなサウナ室のジリジリとした熱と向き合う。そして、京都の名水とも言われる冷たい井戸水の水風呂に全身を沈める。 それは観光旅行という境界線を越えて、京都の街の息遣いに自分自身がそっと混ざり合っていくような、素朴でどこか愛おしいととのい体験だった。

薪で沸かされた、やわらかな湯が満ちる浴槽。

歴史と温もりが詰まった、クラシカルなサウナ室。

06

バーテンダーのいない空間で、旅の記憶を語り合う

温まった身体で夜の小路をゆっくりと歩き、ホテルへ帰還する。 続いて向かったのは、かつて事務棟として使われていた棟の2階にひっそりと佇む「セルフバー」だ。

バーテンダーのいない、夜の交流が生まれるセルフバー。

ここには、あえてお酒を作るバーテンダーはいない。 冷蔵庫から冷えた銅グラスを取り出し、宿泊ゲストが自分で好きなウイスキーやクラフトジンを注いでカクテルを作る。 「人々が集まり、お互いに交流できる豊かな場所をここに作りたい」。創業者の山内氏が遺したその熱い想いを具現化するために、ここはあえて客室にすることをやめ、誰にでも開かれたセルフバーとして設計されたのだという。

夜を彩る、種類豊富なウイスキーやクラフトジン。

バーにバーテンダーがいないことで、不思議とゲスト同士の心の距離がぐっと近くなる。 隣に座った海外からの旅行者と、たどたどしい英語と日本語を交えながら、今日見てきた京都の美しさについてぽつりぽつりと語り合う。お互いに自分で作ったカクテルグラスを傾けながら、ただ静かに笑い合う時間。旅の出会いが生み出すゆるやかな繋がりが、夜の帳を暖かく照らしてくれる。

07

独創のDNAに触れる、真夜中の『dNaライブラリー』

夜の最後の時間は、バーの奥に静かに広がる特別なライブラリー「dNa」へと足を運ぶ。 ここはブックディレクターの幅允孝氏が「ゲーム、ものづくり、遊び、京都」をテーマに世界中から集めた約3,000冊もの書籍が、ModuleX社による美しい陰影を湛えた間接照明に照らされて並んでいる空間だ。

世界中から集められた書籍が並ぶ、知的なインスピレーションを与える「dNaライブラリー」。

本棚の間には、日本のケント紙だけを使って実物大で超精密に再現された初代ファミリーコンピュータのアートピースや、往年のゲームボーイが静かに飾られている。さらに、最新のSwitchが未来の化石となって埋もれているインタラクティブアートが飾られ、100年の歴史の連なりをユーモラスに感じさせてくれる。

本棚の片隅で、ふと目が留まる。 そこに佇んでいたのは、かつて任天堂を世界的な玩具メーカーへと成長させた3代目の祖、山内溥氏が終生愛用していたという「片目のダルマ」だ。 「成功したと言い切れる瞬間は、永遠にやってこない(成功は完成しない)」――。 だからこそ、もう片方の目が黒く塗られることは決してない。
初代から受け継がれるハングリーでストイックな「挑戦と独創のDNA」。 その静かな凄みと熱が100年間この洋館にずっと眠り続けている。

本と向き合う、ライブラリーの寛ぎ空間。

08

深夜の小腹を満たす、特別なお楽しみ

dNaライブラリーで本の世界に思いを馳せ、夜がいっそう深まった頃。ふと満たしたくなった小さな小腹を前に、足を向けるべき場所がある。夕食時に極上の天ぷらでもてなしてくれた「天ぷら まるふく」だ。22時の閉店を迎えると、ここには夜間限定の暖簾「夜鳴きまるふく」が静かに掲げられる。上品な出汁の風味が際立つ繊細な中華そばや、味わい深い鴨の旨味が広がる鴨南蛮そば。サウナや銭湯の温もりで柔らかくほぐれた身体へ優しく染みわたり、お腹も心も豊かな温もりで包み込んでくれるだろう。今日という特別な一日の出来事や旅の思い出にゆったりと浸りながら味わう時間は、まさに夜の締めくくりにふさわしい至福のひとときだ。

夜にだけ暖簾を掲げる「夜鳴き まるふく」の鴨南蛮そば。

『丸福樓』でのサウナ旅は、単なるリラクゼーションの時間を越えている。 100年の歴史が薫るアール・デコの空間美、安藤忠雄氏の研ぎ澄まされたミニマリズム、東山を仰ぐプライベートテラス、そして地元の生活の温もりに浸る銭湯。 それらの美しい物語がシームレスに繋がり、私たちの心身をありのままの自然な状態へと還してくれる。

09

朝の光に包まれて。細胞が優しく目覚めるおだやかな朝食

翌朝、テラスを揺らす心地よい風と、東山から差し込む澄み切った朝の光で目が覚める。
サウナと銭湯の心地よい余韻に包まれ、静けさの中で深く上質な眠りから目覚めると、身も心も驚くほど軽やかに解きほぐされているのを感じる。朝日がやわらかく差し込むダイニングラウンジへ移動し、一品一品に細やかな手が掛けられた鮮やかな京の和朝食をいただく。

朝食のハイライト、ふっくらと炊き上がった土鍋ご飯。

京の恵みが並ぶ、心と身体を調律する鮮やかな和朝食。

ふっくらと炊かれた土鍋ご飯に、出汁の香り高いお味噌汁、京都の豊かな恵みを味わう豊かな小鉢の数々。サウナと極上の料理で磨ぎ澄まされた身体へと、素材そのものが持つやさしい滋味がじんわりと染みわたっていく。一口ごとに心と身体が心地よく調律され、内側からみずみずしい活力と満ち足りた感覚が湧き上がってくる。

10

鍵を返し、日常へ。旅を終えた心に宿る美しい余白

午前11時、チェックアウトの時間。手のひらでずっしりと温まっていた真鍮の鍵をレセプションに返却する。
鍵を渡してしまう少しの寂しさを紛らわせるように、私たちはレセプションで、滞在中ずっと客室の鍵に寄り添っていたあのキーホルダーを、自分へのお土産として買い求める。 エントランスに掲げられた、あの小粋な「製造元山内任天堂」の社名板を忠実に再現した、どこか愛らしいレトロなキーホルダー。これから自宅の鍵につければ、この旅の贅沢なととのいと、名建築に流れていた特別な時間がいつでも手のひらの中に優しく蘇ってくるだろう。

旅の思い出に深く刻まれる、重厚な青銅の社名板。

そうして手に入れた小さな旅の余白を大切に抱えながら、私たちは丸福樓ののれんをくぐり、再び京都の街へと一歩踏み出した。
ただせかせかと観光地を巡る旅では決して得られない、心と身体がその土地の静かなリズムと同調していくような、深い充足感。
100年にわたり紡がれてきたアール・デコ様式の意匠美、安藤忠雄氏の手によって刻まれた光とコンクリートの造形美、天空テラスで東山を仰いだあのととのい。そして、名門銭湯の温もりに溶け込んだ京都の日常。 それらすべてのひとときが途切れることなく重なり合い、いつのまにか日々の暮らしの中でこわばっていた私たちの心身を、やさしく解きほぐしてくれる。
旅する人生に、サウナという美しい余白を添えて。私たちは満たされた身体とともに、また新しい日常へと軽やかに歩き出す。

INFORMATION

施設情報

施設名
丸福樓(まるふくろう)
所在地
京都府京都市下京区正面通加茂川西入鍵屋町342番地
営業時間
チェックイン 16:00〜22:00 / チェックアウト 〜11:00
客室数
18室(うちスイート7室)
サウナ設備(丸福樓スイート)
ONE SAUNA製プライベートバレルサウナ、専用水風呂、セルフロウリュ可、インフィニティチェア完備
宿泊特典
24時間ラウンジ・セルフバー利用無料(オールインクルーシブ)、客室ミニバー無料(ポカリ・オロナミンC含む)、提携銭湯「サウナの梅湯」無料入浴チケット、提携フィットネスジム「エニタイムフィットネス」無料利用
公式ウェブサイト
https://marufukuro.com

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