みんなでつくる森の学校フェス「GOOD NEIGHBORS JAMBOREE 2022」

みんなでつくる森の学校フェス「GOOD NEIGHBORS JAMBOREE 2022」

たぎるような夏の熱気も落ち着き、1年の中でもほどよい気温で過ごしやすくなる秋頃。
自然と外に足が向く季節、外で音楽を聴くのに最高な時期となる。
コロナ渦によって中止となってしまったフェスも少なくない中で、2010年から13回目の開催となる「GOOD NEIGHBORS JAMBOREE 2022」。
ただでさえ以前から気になっていたこのフェスに、今回はサウナがあるということで、勇足で向かった。

GOOD NEIGHBORS JAMBOREEは、九州は鹿児島県、南九州市で開催されるフェス。
「みんなでつくる文化祭」と言われ、地域の人びととの関わりや参加を大事にしながら、みんなの手によって作り上げるお祭りだ。

会場となるのは薩摩半島のおよそ中央に位置する、森の中の廃校。
「リバーバンク森の学校」と呼ばれ、普段は自然体験ができるような施設として運営されている。
昔ながらの学校が会場ということもあり、メインのエリアは緑豊かな広々とした校庭。
そこにはメインステージ、DJブース、アスレチックやボルダリングにスケートランプが設けられて子ども達が遊び、
そしていろいろなショップが軒を連ね、人々があれやこれやと食指を動かす様はまるで小さな村のようで、わいわいとした営みを感じる風景が広がる。



フェスの日程としては1日きり。朝は校旗掲揚から始まる。
"この日だけ"の特別感は参加者の表情からもうかがえる。
子どもたちも多いこのフェスでは、いくら手を広げても足りないくらいの大きな遊び場を思う存分に駆けまわっている。




宿泊を希望する方には限定でキャンプでの宿泊チケットも販売しており、会場の内にテントを張ることができる。
朝イチの車両の乗り入れができる時間に場所を取る。
キャンプフェスは数あれど、ここまでステージや会場と近い位置にテントが張れるフェスが他にあるのか?という歓喜の驚きがあった。



まずは腹ごしらえとしてショップを回る。
フェス飯は言うまでもないフェスの醍醐味のひとつ。
GOOD NEIGHBORS JAMBOREEでは、"GNJコイン"を発行しており、フェス会場内は全てこのコインが通貨となる仕組みだ。
電波のほとんど届かない森の中で、子供のころの"ごっこ遊び"のようなとてもアナログな仕組みに触れることで、等価交換の原体験に立ち戻ることを意識したキャッシュレス。


そのコインは鹿児島県内のレザーブランドの端材で作られ、来年も使うことができる。
早速そのコインに両替したなら、その場で刷ってもらったばかりのTシャツに着替え、ステージの音楽を楽しみながらジビエや地元の食材で作られた特製プレートに舌鼓を打つ。



校舎や校庭は立体的な山の傾斜の中にあり、校庭の端から伸びた階段を下ると、もうひとつの空間が広がっている。
手入れをされた杉の森と、ウッドデッキやツリーハウスが調和し、そこは本当の森の中。
距離の割には高低差からか、ステージの音楽も遠くに聞こえ、空気も一段寒くなるようだ。
小さな渓流のほとりで茶室を楽しんだり、木工のワークショップや、奥に進むと森のコーヒー屋さんも。


そしてここへ降り立ったのは他でもない、サウナがあるためである。
フェスの中でのサウナ、そして森の中でのサウナだ。
楽しくないわけがない。

予約の時間に合わせて受付をし、森の中でひときわ目を引く山吹色のテントで着替えたなら、サウナタイムの始まりだ。



用意されているのは37designオリジナルのサウナカーとテントサウナ。
60分間2コイン、つまり500円で体験できる。
まずは森の中で煙突から煙をあげるサウナカーへ。
森の中のサウナ小屋は、まるで童話の世界のような出立ちで純粋にかわいい。


流木で作られた流線型のドアノブを引いたなら、頭をぶつけないように低い体勢で小屋の中に入る。
サウナ室は十分にあったまっており、ストーブはパチパチと音を立てて薪を燃やし、ようこそと歓迎してくれている。



L字形になったベンチには、大人3人がゆったりと座れるくらいの広さ。
足元は炎にも近いのでかなりのあたたかさだ。
ロウリュをすれば、森が見えていた目の前のガラス窓が蒸気で曇り、それがまた趣がある。


水風呂は車横に置かれたシャワーを浴びる。
蓄圧式のシャワーのためスタッフの方が圧力をかけてくれ、そのおかげでシャワーから水が出るのだが、こんな風にわいわい一緒になって楽しむ一体感という楽しみ方がサウナにあったとは。



続いてテントサウナへ。
立体的なウッドデッキの下に設置されたテントサウナはMORZH。
まるで森の中に建てられたひとつの建物のようにフィットしていた。


こちらもスタッフの方がしっかりとした火入れと人数のハンドリングしてくれているおかげで、良好な状態でサウナに入ることができる。


知覧茶のロウリュ、アウフグースや換気など、細やかな気配りとホスピタリティがあった。
カップルやグループなど、比較的若い方も多かった感じだが、サウナに来られる方々と楽しくサウナを通してのコミュニケーションをしている様子が好印象だった。

ウッドデッキなどはあれど、先述の通りここは森の中。
水道などはなく、その対策として氷を敷き詰めた水風呂が用意されていた。
ガツンと冷えたその水をかぶり、ととのいチェアで外気浴。
勢い余った氷たちが足元に遊んでいる。

ツリーハウスのような3階建てのウッドデッキの頂上。
そこでの外気浴はとても贅沢だ。
木にとまった鳥になったような景色。
空に伸びる杉の木を下から眺め、風に揺れる針葉樹の葉を、四方に伸びる枝の生命力をまじまじと見つめる。
フェスの音楽が遠くに聴こえる。

ととのった後には地元・鹿児島商店街のクラフトコーラが圧勝。
目の前で作ってくれるコーラは、スパイシーで香り豊かだ。
味覚が敏感になったサウナ後に飲めばなお、ひとつ一つのスパイスが主張しているようで、普段のコーラとはまったくもって違った飲み物だった。

10月の半ばでありながら、この日はこれでもかというくらいの快晴で、夏を思い出させるほどの日差しが会場を盛り上げていた。
沢には水遊びをするカラフルなTシャツの子供たち。
ここが森の中の学校だということを思い出し、こんな風景を愛おしく感じる。


陽が落ちて暗くなってからは、また様変わりした夜のメニューを楽しむ。
炊き立てのおにぎりや予約でいっぱいの猪ラーメンや、今回のために作られたIPA、ジンや焼酎、どれもこの日のこのお祭りにマッチしていて、そしてどれも美味しい。



コロナ渦の2020年以降は、一人ひとりの空間を考慮した人数を制限した状態での運営となっている。
それでもなお、こうしてひとつのステージをみんなで楽しむことができる、盛り上がるということができるということのありがたさを、改めて感じた。
独創的なパーカッショングループである"otto&orabu"のビリビリとエネルギーあふれるステージには、言葉ではない、心を揺さぶられる何かが確かにあった。

高らかなラッパが祭りの終わりを告げる。
明治初期からこの地にあった学校は廃校になってしまったけれど、今も昔もこうしてこんなにも人が集まるパワーがある土地なのだと感じた。
しかし、人を呼ぶのもまた、人だ。

BE A GOOD NEIGHBOR。
人と人との繋がりはあたたかい。
今宵1夜限りの照明の光は、樹齢100年を越えるくすの木を突き抜け、ずっとずっと先の未来を照らしていた。

 

 

 

GOOD NEIGHBORS JAMBOREE 2022 (イベントは終了いたしました)


住所/〒897-0224 鹿児島県南九州市川辺町本別府3728−2
営業/2022年10月15日 
料金/90min ¥500

HP/https://goodneighborsjamboree.com/2022/

サウナタイプ
メーカー:
サウナカー
4人用テントサウナ(MORZH)
サウナストーブ
メーカー:
Charlton & Jenrick (薪ストーブ)
ロウリュ:あり(セルフロウリュ)
水風呂
温度 :10〜14℃
外気浴
整えチェア:あり
眺望:森の景色とフェスの音楽

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